衆議院議員総選挙は、小選挙区比例代表並立制で行われる。有権者は投票所で2枚の投票用紙を受け取り、1枚に候補者名、もう1枚に政党名を書く。この「二票制」が制度の出発点になる。

定数の内訳

衆議院の定数は465で、内訳は次のとおり。

区分定数投票の書き方
小選挙区289候補者名
比例代表176政党名

小選挙区は全国を289の区に分け、各区で最多得票の1人だけが当選する。比例代表は全国を11のブロックに分け、ブロックごとに政党の得票数に応じて議席を配分する。

小選挙区 — 1票差でも当選は1人

小選挙区は「勝者総取り」の仕組みである。得票率が40%台でも、対立候補が分散すれば当選する。逆に49%を得ても2位なら議席はゼロになる。この性質から、得票率の差以上に議席差が拡大しやすい(増幅効果)。

政権交代が起きやすい制度と言われるのはこのためだが、同時に「死票(当選に結びつかなかった票)」が多くなる。小選挙区制を評価するときは、得票率と議席率の乖離を必ず併せて見たい。

比例代表 — ドント式による配分

比例代表では、各政党の得票数を1、2、3…と順に割り、商の大きい順に議席を割り当てるドント式を使う。11ブロックそれぞれで独立して計算するため、ブロックの定数が小さいほど大政党に有利に働く。

比例代表の名簿は拘束名簿式で、政党があらかじめ順位を決めて届け出る。有権者は名簿順位を変えられない。ここは参議院(非拘束名簿式)との大きな違いになる。

重複立候補と惜敗率

衆議院の特徴が重複立候補である。政党の公認候補は、小選挙区と比例代表の両方に立候補できる。小選挙区で落選しても、比例名簿の順位が届けば議席を得る。これが「比例復活」と呼ばれる。

同一順位に複数の候補を並べた場合、順位を決めるのが惜敗率だ。

惜敗率 =(その候補の得票数 ÷ その小選挙区の当選者の得票数)× 100

つまり「どれだけ惜しかったか」で並べ替える。同じ落選でも、接戦で敗れた候補ほど復活の可能性が高くなる。選挙結果を読むときは、当選・落選だけでなく惜敗率まで見ると、次の選挙の情勢が見えてくる。

なお、小選挙区で供託金没収点(有効投票総数の10分の1)に届かなかった候補は、比例復活できない

任期と解散

衆議院議員の任期は4年だが、解散があれば任期途中で失職する。実際には任期満了による総選挙は戦後1回(1976年)しかない。解散から総選挙までは40日以内に行われ、選挙運動期間は12日間と定められている。

参議院にはない解散があることが、衆議院を「民意により近い院」と位置づける根拠になっている。

出典

  • 総務省「選挙の種類」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo03.html
  • 公職選挙法(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100