投票日に投票所へ行けないことは珍しくない。日本の制度は、状況に応じて3つの方法を用意している。混同されやすいので、順に整理する。
1. 期日前投票 — 最も使いやすい
選挙人名簿に登録されている市区町村で、投票日と同じように投票できる制度である。用紙は投票箱にそのまま入り、当日票と同じ扱いになる。
- 期間: 公示・告示日の翌日から、投票日の前日まで
- 時間: 原則として午前8時30分から午後8時まで
- 場所: 市区町村が設けた期日前投票所(役所、駅前、商業施設など)
- 持ち物: 投票所入場券があると早い。無くても本人確認で投票できる
投票所入場券の裏面が宣誓書になっている自治体が多く、記入して持参すると窓口が短時間で済む。
2. 不在者投票 — 名簿のある市区町村以外で投票する
出張先や滞在先の市区町村で投票する方法である。手順が期日前投票と異なる。
- 名簿登録地の選挙管理委員会に投票用紙を請求する(郵送・オンライン)
- 送られてきた用紙一式を持って、滞在先の選挙管理委員会へ行く
- その場で記入し、封筒に入れて提出する(その場で開封してはいけない)
- 滞在先の選管が名簿登録地へ送付する
郵送のやり取りが2往復発生するため、投票日の1週間前には請求を始めたい。指定病院・老人ホームに入院・入所している場合は、その施設内で不在者投票ができる制度もある。
3. 在外投票 — 海外に住んでいる場合
海外に3か月以上滞在する場合、在外選挙人名簿への登録が必要になる。登録は出国前に市区町村の窓口で、または現地の大使館・総領事館で行う。
投票の方法は3つ。
- 在外公館投票: 大使館・総領事館の窓口で投票する
- 郵便等投票: 投票用紙を取り寄せ、記入して国際郵便で送る
- 日本国内での投票: 一時帰国中に投票する
在外投票の対象は国政選挙のみで、地方選挙には投票できない。郵便等投票は日数がかかるため、公示の前から準備しておく必要がある。
郵便等投票 — 重度の障害等がある場合
身体障害者手帳や戦傷病者手帳で一定の要件に該当する人、要介護5の人は、自宅から郵便で投票できる。事前に「郵便等投票証明書」の交付を受けておく必要があり、投票用紙の請求は投票日の4日前までと期限が早い。
制度を知ることが投票率を動かす
期日前投票の利用は年々増え、国政選挙では投票者の3割を超える回も出ている。「投票日に行けないから棄権する」という選択は、制度上は避けられることが多い。
自分の自治体の期日前投票所の場所と時間は、選挙のたびに選挙管理委員会のサイトで公表される。投票日より先に、投票できる日が来ている。
出典
- 総務省「投票制度」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo07.html
- 総務省「在外選挙制度」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10.html
- 公職選挙法 第48条の2・第49条(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100