「政党」という言葉は日常語だが、公職選挙法と政党助成法では明確な要件が定められている。要件を満たすかどうかで、選挙でできることが変わる。
要件は2つのどちらか
法律上の政党と認められるのは、次のいずれかを満たす政治団体である。
- 所属する国会議員が5人以上いること
- 直近の衆議院議員総選挙(小選挙区・比例代表)または直近2回の参議院議員通常選挙のいずれかで、全国を通じた得票率が2%以上であること
どちらか一方でよい。国会議員が1人でも、前回の国政選挙で2%を得ていれば政党要件を満たす。
政党だと何が変わるか
政党要件を満たすと、選挙で使える手段が大きく増える。
- 比例代表への候補者名簿の届け出ができる
- 選挙区の候補者と重複立候補させられる(衆議院)
- 政見放送を行える
- 候補者個人とは別に、政党としての選挙運動(政党名のポスター・ビラ・車両)ができる
- 政党交付金の交付対象になる(政党助成法)
逆に、政党要件を満たさない政治団体の候補者は、原則として個人の選挙運動しかできない。同じ選挙に出ていても、使える道具の数が違う。
政党交付金
政党交付金は、国民1人あたり250円を基準に総額を算定し、議員数と得票数に応じて各政党へ配分される。受け取るには政党要件に加えて届け出が必要で、日本共産党は制度に反対する立場から受け取っていない。
「政党」の同一性は揺れる
日本の政党は、結党・改称・合流・分裂が頻繁に起きる。同じ名前でも法的には別の政治団体であることがあり、逆に名前が変わっても継続している場合もある。
たとえば「立憲民主党」は2017年に結成された団体と、2020年に旧国民民主党などと合流して結成された団体があり、別の政治団体である。データベースで政党を扱うとき、名前を主キーにすると必ず破綻する。
選挙インサイトでは、政党を名前ではなく永続的な識別子で管理し、改称・合流・分裂を履歴として残す設計にしている。過去の選挙結果を、当時の政党名のまま正しく振り返るためである。
地域政党
地方議会だけで活動する政治団体は「地域政党」と呼ばれることがあるが、法律上の政党要件とは別の概念である。国政の政党要件を満たさなくても、地方選挙で首長・議会の多数を占める例は珍しくない。
出典
- 政党助成法(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/406AC0000000005
- 公職選挙法 第86条の2・第86条の3(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100
- 総務省「政党交付金」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seitoujoseihou/