2013年4月の公職選挙法改正で、インターネットを使った選挙運動が解禁された。同年7月の参議院議員通常選挙が最初の適用となった。
誰が何を使えるか
改正で整理された枠組みは、「ウェブサイト等」と「電子メール」を分けることにある。
| ウェブサイト等(SNS・動画・ブログ) | 電子メール | |
|---|---|---|
| 候補者・政党 | 使える | 使える(受信同意者に限る) |
| 一般の有権者 | 使える | 使えない |
SNSのダイレクトメッセージやメッセージアプリは「ウェブサイト等」に分類されるため、有権者も投票の呼びかけに使える。一方、電子メールでの選挙運動は候補者と政党に限られ、有権者が転送することも禁止されている。
変わったこと
- 候補者が公示・告示後も日々発信できるようになった。従来はビラ・ポスターの枚数制限が情報量の上限だった
- 演説の動画がそのまま残るようになり、発言の検証が容易になった
- 支持者が自発的に情報を拡散する経路ができた
変わらなかったこと
- 投票日当日の選挙運動禁止は維持されている
- 18歳未満の選挙運動は禁止。SNSでの投票呼びかけも含む
- 選挙運動用の有料インターネット広告は原則禁止(政党等が一定の要件で出す場合を除く)
- 候補者の氏名等を含むウェブサイトには連絡先の表示義務がある
誹謗中傷と偽情報
ネット選挙運動の解禁時から、誹謗中傷への対応は課題として指摘されてきた。候補者に対する虚偽情報の流布は、公職選挙法の虚偽事項の公表罪にあたる可能性がある。プロバイダ責任制限法に基づく削除請求の枠組みも用意されている。
近年は、生成AIによる偽の音声・動画が選挙に影響を与えうるという議論が各国で起きている。発信元をたどれるかが、情報を評価する際の中心的な基準になりつつある。
データとしてのSNS
SNSの反応量は、選挙の注目度を測る手がかりになる。ただし次の点に注意が必要である。
- フォロワー数は過去の蓄積であり、現在の勢いとは別物
- 言及数は好意・批判を区別しない。量と方向は別に測る必要がある
- プラットフォームごとに利用者層が違い、単純合算はできない
選挙インサイトは、SNS指標を事実データとは別のカテゴリとして扱い、時系列で履歴を残す方針を採っている。指標は上書きせず積み上げ、いつ時点の数字かを必ず併記する。
出典
- 総務省「インターネット選挙運動の解禁に関する情報」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10_2.html
- 公職選挙法 第142条の3〜第142条の7・第235条(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100